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《2019秋冬保存版》
サーラのおすすめ

Interview《巻頭特集》匠インタビュー

「サーラのおすすめ」巻頭特集である、匠インタビューをご紹介いたします。

豊かで美しいこの地で
人と大地をお菓子でつなぐ。

宇治山田駅から車で約 10分。伊勢神宮外宮の南側、のどかな風景が続く伊勢市旭町にたたずむ小さな洋菓子店、「パティスリー・ラ・リシュテール」。地元の常連さんたちが「こんにちは~!」と次々に顔を出す。そんな地元に愛され、やさしさにあふれた人気店です。シェフ・北川裕土さんにお話をうかがいました。

店名がご自身のお名前とは!

いきなりで恐縮ですが、「裕土」と書いて「ひろのり」さんとお読みするんですね。珍しい読み方で、とても素敵なお名前ですね。

ありがとうございます。これは実家の奈良県で、両親が近所の神社の神主さんにお願いして付けていただいた名前らしいんですが。実は、この店の名前にもなっているんです。「裕」という文字は、豊かで満ち足りているという意味で、フランス語で「リシュ」。「土」は大地という意味の「テール」…で「リシュテール」なんです。

海と食に恵まれた豊かな地へ

ふるさとの奈良も、ここ伊勢も、神様がおいでになる豊かな地。お名前の持つ力に導かれてこちらにいらしたような気がしますね。

この店をオープンしたのは、2012年2月です。それ以前、「ホテルオークラ神戸」に勤めていた当時、鳥羽の「タラサ志摩」というホテルの立ち上げだけ手伝ってほしい、と恩師から頼まれて。最初は一時的なつもりだったんですが、来てみたらすばらしく良い土地で、そのまま居ついてしまったという感じでした。その後、一旦「タラサ志摩」は離れましたが、店を構えるにあたって候補地を考えたとき、やはりこの辺りがいいなと。海のない場所(ご出身は奈良県吉野町)で育ったので、海のある地への憧れもありましたね。

お店のすぐそばの神宮外宮に祀られている「豊受大御神」は食を司る神様ですし、伊勢は食材も豊かな地ですね。

 「タラサ志摩」当時に私が考案した、地元の海藻「あおさ」を使った「あおさパン」というのがあるのですが、それがとても好評を得て、いまだにそのパン目的でご来店くださるファンの方もいます。海藻類はほかにも、ひじきやあかもくなども焼菓子に使っています。フルーツは、柑橘類、いちご、ブルーベリーとか…あと、伊勢茶も。地元食材を採り入れたお菓子は、うちの個性でもあります。

パティシエを志した理由は?

地元の高校から東京の大学に進学したのですが、あるとき、渋谷で行列しているケーキ屋をみつけたんです。都会じゃ当たり前なのかもしれませんけど、この、わざわざ並んで食べるほどの魅力ってすごいな!と思って。もとより大学進学にも明確な目的があったというわけでもなく、どちらかというと、何か「技術」を身につけたい、という気持ちが強かったんです。それで「コレだ!」と思ってしまったんですね。大学をやめて、お菓子の専門学校へ行きました。でも、それまでお菓子作りが趣味なんてことも一切なく。強いていえば、食べるのは好きでしたけど(笑)

お名前といい、お菓子との出会いといい、ますます、運命的な「天職」として、今現在のシェフがあるような気がしてきました!

はちみつロールケーキについて

今回、フランスの「ラ・メゾン・ドゥ・ミエル」のはちみつを使って作られた新商品についてお聞かせください。

今回使ったのは「花のはちみつ」というフレーバーなのですが、とにかく風味が豊かで濃厚なはちみつでした。通常の焼菓子にもはちみつは使うので、使い慣れてはいますが、この味わい・特性を際立たせる…という工夫をしました。

ひとつめは “ はちみつが主役 ” になるロールケーキを作ってみました。まず、生クリームだけではなく、はちみつはもちろん、カスタードクリームを少し足しています。コクや風味をよりアップさせた感じですね。また、ケーキのセンター部分に、はちみつのジュレを入れました。このジュレの存在で、はちみつの味わいにもダイレクトにたどり着けます。

フィナンシェはいかがでしたか?

通常のフィナンシェと同じレシピで焼いてみたら、いつもよりもかなり焼き色がつきやすかったです。果糖などの成分が多いのでしょうか…。これは若干、焼きの温度や時間など、レシピの調整が必要でしたが、はちみつのやさしい風味の良いフィナンシェができました。

お菓子で伝えたいこと

ケーキもパンも、ここで作るものすべて、原料については妥協はしていないつもりです。地産地消の考え方のもと、二見の添加物を使用していない「岩戸の塩」を使ったり、バターも国産の発酵バターを使っています。まずは、子どもにも安心して食べさせられるものを、と思っています。今どき、お菓子なんて、どこでも、手軽に、おいしいものが手に入りますよね。でも、安心して食べられるものかどうかは、絶対ではないですから。

お話をうかがっている間にも、「いつものこれ…」とパンを買いに来る親子、手土産にと焼菓子の包みを持ち帰るご婦人、カフェスペースでフルーツたっぷりのパフェやかき氷に歓声をあげる女性グループなど、お客さまが絶えません。本当に親しまれ、愛されているお店なんだなぁ、と感じます。

今考えてみると、開店当初は、やはり自分の腕だめしというか、エゴというか、良い材料で作りたいものを…という部分もありましたね。でも、徐々にお客さまがよろこぶ顔が見たい、お客さまのためにお菓子を作りたい、という気持ちが大きくなりました。地元の常連の方はもちろん、駅の近くでもないのに、わざわざ調べてここまで来てくださる方。人とのつながりに支えられていますから。お菓子を通して、伊勢のおいしいものを全国に紹介しつつ、地域にも貢献したいです。

店内のかわいらしいディスプレーや手書きポップは、奥さまのアイディアとのこと。今回のお菓子に合うお茶は?とうかがったところ、「それも家内が専門なので聞いてください」と。仲の良いご夫婦の空気が、そのまま素敵なパティスリーを作りあげています。

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